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2013年2月14日 (木)

レスリング除外の衝撃

五輪正式種目:レスリング除外、関係者に衝撃

予想外の結果に世界のスポーツ界が衝撃に包まれた。

 国際オリンピック委員会(IOC)は12日に理事会を開催し、2020年大会から採用される25の中核種目からレスリングを除外した。APやロイターなど外信は「IOCは最も歴史あるスポーツの一つであるレスリングを中核種目から除外するという、驚くべき決定を下した」と一斉に報じた。理事会でIOCは2020年以降、事実上の永久種目となる中核種目に、テコンドーを含む25種目を選んだ。最終決定は9月にアルゼンチンで開催されるIOC総会で評決により決まる。しかしこれまでの慣例から、理事会による今回の決定は総会でそのまま認められる見通しだ。

■伝統あるレスリング除外

 古代五輪の5種競技の一つで、近代五輪では第1回のアテネ大会から正式種目として長い伝統を誇るレスリングは、五輪の舞台から消え去る危機に直面した。IOCは5月にロシアで開催される理事会で、野球、ソフトボール、空手、太極拳、ローラースケート、スカッシュ、スポーツクライミング、ウェークボードの7種目と、今回中核種目から除外されたレスリングのうち1種目を選び、2020年大会から新たに追加する予定だ。ロイター通信は「レスリングにはあと1回チャンスが与えられるが、現実的に再び正式種目となる可能性は小さい」と報じた。

 レスリングはこれまで「おもしろくない種目」の典型だった。とりわけパーテール・ポジションからはリフト技がかけにくく、時間稼ぎに利用されることもあるため、ダイナミックさに欠けるなどの批判を受けてきた。パーテール・ポジションとは、反則した選手がマットの中央で両手・両ひざをついて四つん這いになり、相手選手がその背後から攻めるというもの。また、相次ぐ判定疑惑も問題視された。
 メダル数が多すぎるという批判も受けていた。ロンドン五輪ではレスリングに344人の選手が出場し、メダル数は男女合わせて金18、銀18、銅36個だった。国際レスリング連盟(FILA)は来月の理事会で、グレコローマンスタイルからパーテールを廃止するなどルールを大幅に見直す予定だったが、最終的に中核種目からの除外という最悪の結果を招いてしまった。

 突然の決定に、韓国のレスリング界も衝撃を受けている。アジア・レスリング連盟のキム・チャンギュ会長は「レスリングの除外は初めて聞いた。FILAでも何の対策も講じていなかった」とコメントした。

■ロンドンでの成功を残留につなげたテコンドー

 2000年のシドニー大会で初めて正式種目となったテコンドーは、五輪から除外される危機を完全に克服した。ロイター通信はIOC関係者の発言として「レスリング、近代五種、ホッケー、テコンドーが最後まで候補となっていた」と報じ、APは「最も危機的状況にあった近代五種は、国際近代五種連合(UIPM)の強力なロビー活動によって生き残った」とした。

 テコンドーが中核種目として残れた背景には、12年ロンドン大会での大成功が決定的な要因になったとみられる。04年と08年の五輪では相次ぐ判定疑惑で問題視されたが、ロンドン大会からは大技に4点を与えるなど新しい採点方式を採用し、また電子防護具やビデオ判定の導入などでも高評価を受けた。

 八つの金メダルを8カ国が獲得したことも、テコンドーがグローバルな種目だというイメージアップにプラスに作用した。世界テコンドー連盟(WTF)の趙正源(チョ・ジョンウォン)総裁は「204の加盟国を持つテコンドーが中核種目として残ったことで、今後は名実共にグローバルなスポーツとして定着するようになった」「テコンドーの優秀さを世界に広めるため、引き続き努力していきたい」と述べた。
(Yahoo!ニュース-朝鮮日報2月13日(水)11時27分)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130213-00000481-chosun-kr

昨年のロンドン五輪で、日本が獲得した金メダル7個のうち4個がレスリング。すっかり日本のお家芸となった感じだっただけに、今回の五輪正式種目からの除外は衝撃を受けました。逆に韓国のお家芸テコンドーは中核種目として残ったので、案の定ネットでは韓国陰謀論説が飛び交っています。

確かに、韓国のロビー活動が成功したとは思いますが、今回の決定は「韓国のレスリング界も衝撃を受けた」と記事にも触れられているように、韓国にとって手放しで喜べるものではありません。なぜなら、日本と同じように、レスリングは韓国にとっても金メダルを獲得できる大事な競技だからです。

韓国がこれまでの五輪で獲得したメダルの中で、レスリングが占める割合は、金:11銀:11銅:13で他の種目と比べ高い割合です。金メダルの数ではアーチェリーに次ぐ多さで柔道と同じです。

それに比べて、昨夏のロンドン五輪のテコンドー種目における韓国の成績はあまり良くありませんでした。8個用意された金メダルのうち韓国が獲得できたのは唯一つ。残りは他の国で分け合う結果となりました。

しかし、これは日本の「柔道」が「JUDO」になっていったのと同じで、テコンドーが多くの国で競技人口が増え、国際スポーツとしての認知度が上がったということを意味します。
韓国はテコンドーの宗主国としての地位よりも、五輪核心種目として残ることに力を注いできたということですね。韓国メディアは『韓国テコンドーは泣いたが、オリンピック(五輪)テコンドーは笑った』と報道しました。

テコンドーとレスリングのどちらかが五輪種目から外れる可能性があることは以前からわかっていたので、韓国としてはテコンドーを何としても死守するためにレスリングを切り捨てたとも言えます。
2000年シドニーオリンピックでテコンドーが正式種目となってから12年かけてロビー活動を行ってきたことが今回の残留につながったのでしょう。

彼らのロビー活動は、ものすごいお金が飛び交うすさまじいものだと想像できますが、IOCも正論ばかり言っていては通用しない世界であることも事実。韓国がテコンドーが消える危機感を持って何年もロビー活動をしている間に、レスリング界が何もしなければ今回のような結果になっても仕方が無かったのかもしれません。

まあ、そういうことで、今回は韓国陰謀論説はちょっと違うと思います。あえて陰謀論というならば、スペインかなあと思います。
今回テコンドーと共に除外候補としてあがっていた近代五種が2020年五輪の実施競技として残りました。この国際近代五種連合副会長を務めるサマランチ理事はスペイン人で前IOC会長の息子です。サマランチ前会長は、五輪の肥大化、商業主義化を進めた人物として有名ですね。過去の五輪招致を巡っては金品の贈与などスキャンダルが色々あった方です。

そして、現在2020年五輪招致の1次選考で残っているのは、東京(日本)、イスタンブール(トルコ)、マドリード(スペイン)の3都市です。この3都市の中から今年9月7日にブエノスアイレスで開かれるIOC総会において開催都市が決定するというスケジュールです。

マドリードはスペインですね。ということはサマランチJr.の出身国。スペインにおけるレスリングのメダルは過去銅メダル1個だけ。それに対して競争相手の日本とトルコは金メダルを28個ずつ獲得しており得意競技です。
サマランチJr.としては、ライバル国の得意種目を廃止に追い込み、自分が副会長を務める近代五種を残せば招致レースで優位に立てるし、自分の地位も安泰ということになります。
そういった事情のほか、IOCで多数の委員を出している欧州にとっても欧州が強い近代五種を残す方が有利だとの力が働いたとも考えられます。

スペインは失業率も高く経済的に問題があるので、開催都市として決まるかどうかは微妙です。実際は、東京とイスタンブールの争いになる可能性が高いでしょう。しかし、招致レースを有利に運ぶためには、あらゆる可能性を考えて自国に有利になるよう働きかけるのは当然だと思います。

今回のことでは色々な背景が考えられますが、レスリング界が何の危機感も持たずにロビー活動を全くしていなかったことが外された原因だと思います。悲しいことにIOCに五輪の精神など通用しないことは事実なのですから、レスリング界に限らずJOCももっと現実的になった方が良いでしょう。それが嫌なら東京オリンピックを招致するべきではないと思います。

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