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2012年11月 1日 (木)

歴史問題の解決を望まない韓国

大人になれない韓国外交

挑発的な行動と具体性に欠ける謝罪要求を日本に突き付ける韓国のやり方はイエローカードに値する

ジェフリー・ホーナング(アジア太平洋安全保障研究センター准教授)

ニューズウィーク日本版[2012年9月19日号掲載]

 すっかり冷え込んだ日韓関係を象徴する出来事の1つといえば、今夏のロンドン・オリンピックのサッカー男子3位決定戦のあのシーンだろう。

 日本に勝利した後、韓国代表チームの朴種佑(パク・ジョンウ)が「独島(竹島の韓国名)はわが領土」というプラカードを掲げた一件だ。スポーツの祭典に政治を持ち込まないという伝統と規範を、今大会で唯一破った選手だった。

 試合後の出来事もさることながら、試合そのものが最近の両国関係における韓国の外交姿勢を反映するような内容だった。テレビ中継によれば韓国側が特に攻撃的で、前半だけで3枚ものイエローカードを出された。

 韓国には外交の分野でもイエローカードが出ていた。言わずもがなだが、李明博(イ・ミョンバク)大統領が竹島に上陸し、日本に数々の要求を突き付けたことだ。李のこの無責任な行動は、両国関係に長期にわたって影を落とすことになるだろう。(中略)

李は竹島上陸について、日本に歴史問題の解決を迫るためだったと韓国のマスコミに説明。植民地支配について、日本の天皇に「心からの」謝罪を求めた。

 この要求に、日本政府は不快感を表明した。過去を認めたくないからではない。既に何度も謝罪を行ってきたからだ。

 とかく見過ごされやすいが、日本の政府と社会はこれまでにも第二次大戦中の侵略行為に関する理解や和解、謝罪の努力を行ってきた。

 歴史の教科書には日本軍による南京事件や慰安婦問題、強制労働などの記述があり、最近のスタンフォード大学の研究によれば、その記述は決して過去を正当化するものではない。元慰安婦への補償に当たるアジア女性基金も設立された(補償事業を終え、07年に解散)。

■日本の努力を認めない
 90年代以降は、何度も謝罪を行っている。有名なのは、日本政府による公式な謝罪と位置付けられた95年の「村山談話」だが、ほかにも歴代首相や現在の天皇が謝罪や反省の言葉を口にしており、韓国に直接向けられた謝罪もある。

 90年5月には海部俊樹首相が、92年1月には宮沢喜一首相が韓国の盧泰愚(ノ・テウ)大統領に、戦時中の日本が韓国民に対して取った行動を謝罪。96年6月には、橋本龍太郎首相が金泳三(キム・ヨンサム)大統領に従軍慰安婦問題について謝罪。10年8月には菅直人首相が過去の植民地支配について謝罪し、日韓併合時代に持ち出された朝鮮王室儀軌など約1200冊の古文書を引き渡すと表明した。(中略)

■中国と北朝鮮には好都合
 それでも外交的な観点からすれば、李の行動は理にかなったものとは言えない。日本に歴史問題の解決を促す意図があったとしても、効果の程は疑わしい。謝罪要求を繰り返せば日本側の反発を招き、不必要に緊張を高めるだけだ。実際、日本政府は駐日韓国大使を呼んで李の竹島訪問に抗議し、韓国駐在大使を一時的に召喚した。

 それ以上に問題なのは、日韓が直面する共通の脅威だ。中国の軍備増強、北朝鮮の核・ミサイル開発、極東におけるロシアのプレゼンス拡大などである。

 こうした状況に対処すべく、アメリカはこの地域のパワーバランスの再構築を進めている。日韓両国は同盟国としてこれに全面的に協力すべき立場だ。日韓協力が地域の安全保障のカギを握るこの重大局面で、李は両国の亀裂を広げる愚挙に出た。

 李の竹島訪問で、日本政府は韓国に柔軟な姿勢を示せなくなった。長期的にそれがどう影響するか、非常に気掛かりだ。

 日本は国際司法裁判所(ICJ)への共同提訴を韓国に提案し、竹島の領有権主張を国際社会にアピールしている。日本は日韓関係への影響を考慮して、62年以降は提訴を見合わせてきた。ICJが審理に入るには当事国双方の同意が必要だが、韓国は拒んだ。これは結果的に日本を利する。国際的な議論で日本に主役の座を譲ったに等しい。(中略)

かつては、韓国が歴史問題で日本に謝罪を求めるのは正当な要求に見えた。日本政府は戦後補償を行った以外、過去の行為に関しておおむね沈黙していたからだ。

 今はそうではない。日本政府と社会は繰り返し罪を認め、補償を行ってきた。98年の日韓共同宣言では、金大中(キム・デジュン)大統領が小渕恵三首相の謝罪を受け入れ、両国は歴史を乗り越えて「未来志向」の関係を目指すと誓ったはずだ。李は日本に「心からの謝罪」や「誠意ある措置」を迫ったが、こうした曖昧な要求では、歴史カードを政治に利用するポピュリストと見なされても仕方がない。

■どんな謝罪ならいいのか
 銅メダルを懸けたサッカーの日韓戦と同様、攻撃性をむき出しにした最近の韓国外交の態度はイエローカードに値する。李の竹島訪問は支持率稼ぎにはなっても、日韓関係をこじらせた点で無責任と言わざるを得ない。歴史問題の解決を求めるなら、具体的な要求を出すべきだ。

 どのような謝罪なら受け入れ可能なのか、そもそも韓国内で合意が形成されていない。これまでの謝罪や補償ではまったくもって不十分だと言うのなら、韓国政府はどこがどう問題かを明らかにすべきだ。「わびる」という言葉ではなぜ足りないのか説明すべきだ。「独島」が自国領だと主張するなら、日本と共同でICJに紛争解決を付託するのが筋だろう。

 挑発的な行動に出て、曖昧な要求を突き付けるだけでは歴史問題の解決にはつながらない。政治目的で歴史カードが使われることに日本の世論がうんざりし、対韓強硬派が勢いづくばかりだろう。
(ニューズウィーク日本版2012年10月11日(木)14時13分)
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2012/10/post-2719.php?page=1

とても長い記事なのでかなり削って引用しました。興味のある方はリンク先で是非全文お読み下さい。
このニューズウィークの記事は、すでに沢山の方がブログで取り上げているので、ご存知の方も多いと思いますが、私も最近印象に残ったものです。
外国の方は、日本と中国、韓国との関係について、あまり興味が無いと思っていましたので、こういった冷静な分析をする方がいることにまず驚きました。
外国(西洋)から見ると、アジアの国同士のもめ事は、歴史的経緯も詳しく知らないでしょうし、それ故、声を大にして主張する国の方が(たとえそれが嘘八百でも)正しい言い分だと捉えがちです。
日本の場合は、マスコミや政治家が日本人に自虐史観を植え付けているので、正しい主張が国民に伝わらないと同時に、国として海外へ積極的に情報発信をしようという姿勢が見えません。こういう状況は本当に歯がゆいです。
それにしても、最近の韓国の態度はひどすぎます。
私も以前はなるべく韓国ネタに触れないようにしていましたが、遠慮するのは止めました。

韓国に何度謝っても満足しないのであれば、ホーナング氏の主張のように、「どのような謝罪なら受け入れ可能なのか」という投げかけを日本側からするべきではないでしょうか。
日本が一方的に謝罪するのではなく、彼らに答えを出させるのです。
韓国は歴史問題で永遠に日本にたかり続けるのが目的なので、彼らにとってこの問題を「解決する」という選択肢はありません。
謝罪については、「そもそも韓国内で合意が形成されていない」ので、困るのは韓国側です。
追い詰められたら「韓国に対する愛はないのかー!」と叫ぶのかな。
それ故、日本はこれ以上韓国の言いがかりに付き合う必要は無いのです。

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