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2012年9月22日 (土)

「奴隷の平和は選ばない」という覚悟

最近の尖閣諸島問題を考えるうちに、昔、当時の小泉首相と田英夫議員のやり取りを思い出しました。法案はイラク新法に関してのものですが、この時の小泉首相の発言「私は奴隷の平和は選ばない」は非常に印象深く、今でも時々思い出します。
当時の議事録から該当部分を引用しますね。

平成15年06月05日 第156回参議院
武力攻撃事態への対処に関する特別委員会

○田英夫君 私が最後の質問者のようでありますから、この法案と基本である憲法とのかかわりについて考えてみたいと思います。
 憲法は、言うまでもなく第九条に、日本は戦争はしないと、軍隊を持たないということを明確に規定をしている。そして、その憲法の前文の中に、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と、こう書いてあります。これが言わば第九条の基になる日本の姿勢の基本であると思います。つまり、世界の国々を信頼して戦争はしないし軍隊も持たないんだと、こういう決意をしたわけです。
 ところが、今回の法案は、ずばり言って戦争状態になったときに、あるいは予測されるときにどうするかという話です。戦争をしない国がこういう法律を持つ必要があるのかどうか。
 総理は、五月二十日の同僚議員の質問に対して、外国の侵略あるいは危険な勢力が日本国民に侵害しようとするときには断固たる決意を持って抵抗するぞ、戦うぞという決意を形にしたものが自衛隊だと私は思っていますと言われている。これ、憲法と矛盾しませんか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) これは戦後何回も議論されてきたことでありますが、自衛権を日本憲法は否定していないと思います。今でも自衛隊が憲法違反だと言っている方があるのは承知しております。しかし、それはもう決着が付いているのではないか。そういう意見はありますが、自衛隊は憲法違反ではないというのが大方の国民の理解だと思っております。
 でありますから、日本としては、日本が侵略を受けた場合、侵害を受けた場合には、戦う決意を持っているんだと、それを形に表したのが自衛隊であると。日本を侵略しようとする勢力に対して、日本は無抵抗で白旗を掲げて、はい降参します、どうぞ人権でも財産でもどうぞ侵害してくださいというわけにはいかぬと。侵略する勢力に対しては日本は激しく抵抗する、そういう決意を持っている、その存在が自衛隊であると。だからこそ、侵略する勢力に対しては、日本を侵略する場合には多大の犠牲を覚悟しなきゃならない、日本だけでは不十分だからアメリカと安保条約を結んで、日本はアメリカとともにそういう侵略勢力に対しては断固として戦う、そういう存在が自衛隊であるということを申したわけでありまして、私は今の日本の憲法は自衛隊を否定するとは思っておりません。合憲だと思っております。

○田英夫君 ところが、総理は同じ日の同じ方に対する答弁の中で、私は、自衛隊というのが将来やはり我が国の平和と独立を守る軍隊であるということが正々堂々と言えるように、将来はやはり憲法を改正するというのが望ましいという気持ちを持っておりますということを言っておられる。
 私も、長いこと国会におりますけれども、歴代の総理大臣で憲法改正をこれほどはっきり言われた方を私は記憶していない。本当に今言われたことと、このこととどっちが本音かというふうに思いたいのですが。
 同時に、先ほど阿部さんが配ってくださった「自衛官の心がまえ」というのを私も初めて拝読しました。この中に憲法ということは一言も書いていない。これは私には驚きであります。
 同時に、総理は、やはり同じ日の答弁の中でこういうことを言っておられるんですね。つまり、ああいう憲法ができて、そして戦争をしないということを決めた、そして自衛隊というものにいろいろ批判があるということの中で、特攻隊というような、若き青年たちに非情な要求をしてあのような貴重な命を散らした、これはやはり軍隊を持ったからだという、軍隊に対する反感が他の国よりも非常に強いんだ、こういうことも言っておられる。
 正にその特攻隊の体験をした私からすれば、その貴重な体験、あるいは広島、長崎、各地の大空襲で亡くなった人、方々のその無念の思い、尊い犠牲というもの、その結果が、先ほど申し上げた外国諸国民のことを信頼して、日本はもう戦争しない、軍隊も持たない、そういう決意をしたんですね。その重さをもっと考えていただきたい。
 だんだん戦争体験者が少なくなってきた。そういう中でもうそろそろ憲法改正していいじゃないかというような気持ちが総理を始め皆さんの中にあるとすれば、私は死ぬわけにいかない。いつまでも生きていかなくちゃいけませんよ。この戦争体験者の、そしてまた戦争犠牲者の貴重な体験というものをもっと大事にしていただきたい。いかがですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 憲法についての議論は、今までも様々なされておりましたし、現在、国会でも憲法調査会で議論をされております。自由民主党も結党以来、自主憲法制定というのを党是にしております。
 自衛隊がなく、いかなる戦力も保持しない、非武装だから平和が守れるんだ、独立が守れるんだという考え方もあるのは承知しております。しかし、そういう考え方には私は同調できません。諸国民の公正と信義に信頼して、日本は武力を持たない、自衛隊を持たない、いざ侵略勢力があったら何も戦わないで降参しますということが相手への侵略を防げるかとは思っておりません。
 諸国民の公正と信義、その公正と信義のない国もあるのも過去の歴史が証明しております。つい最近、イラクもクウェートを侵略しましたね。あるいは様々な国々はこの歴史の中で何回も侵略を繰り返し、戦争、紛争を繰り返しております。だから、日本だけが戦力を持たない、自衛隊を持たない、軍隊を持たなければ相手も安心して何もしないというのは余りにも危険ではないでしょうか。
 私は、実験が利かないんです、これ。一度侵略されちゃったら、後どうもできない。かつてのソ連の後の圧制に苦しんだ国々がどれだけあったか。ソ連が今ロシアに変わって民主主義みたいな政界、政体に変わろうとしているのは私も歓迎しておりますが、一たび全体主義、独裁主義に羽交い締めされた国がどれほど自由を失ってきたか。
 こういうことを見ると、私は単なる奴隷の平和じゃなくて、平和であったらやっぱり自由に基本的人権を謳歌しながら日本の平和と独立を維持しなきゃならない。戦争は嫌だ、侵略された方がいい。確かに戦争をしなければ侵略されて、その国の独裁に任せれば戦争は起こらないかもしれません。それだったらもう奴隷の平和です。私は奴隷の平和は選ばない。やはり平素から日本の平和と独立を侵そうとする勢力に対しては断固たる決意を持って抵抗するという、その備えがあって初めて戦争は防げるんじゃないでしょうか。

○田英夫君 全くあの戦争犠牲者たちの願いが分かっていない、その尊さが分かっていないと思いますよ。
 確かに、残念ながら人間は戦争を本能のようにしてきた。人間の歴史は戦争の歴史ですよ。しかし、ここで違うと、核兵器というものが、原子爆弾というものができた以上、もう戦争に対する考え方を変えなければならないというのが幣原さんの考え方だったということもこの前申し上げました。ここで変えなかったら、特に日本が世界の先頭に、人類の先頭に立って変えなければならないという決意をしたんですよ。そのことをもっともっと皆さん大事にしていただきたいということを重ねて申し上げて、終わります。
 ありがとうございました。
(議事録引用ここまで)

非武装中立を主張する方々は、「尖閣諸島なんか中国にあげてしまえばいい」と思っているのでしょう。中華人民共和国の「日本省」になれば攻撃されることはありませんから。
しかし、それは「奴隷の平和」です。それで良いのですか?
野田首相には、日本の平和と独立を侵そうとする勢力と本気で戦う覚悟があるのかどうか。
私はこのまま民主党政権が続くのがとても不安です。

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コメント

わぁ、懐かしいです。
議事録引用ありがとうございます。
「私は奴隷の平和は選ばない」
私も今でも時々思い出しますよ。インパクトありましたよね。

>「尖閣諸島なんか中国にあげてしまえばいい」と思っているのでしょう。

その民主党にしては随分思い切った事をしたと思っていたら、石原知事(東京)による尖閣購入阻止が理由だったとは、ちょっと性急過ぎとは思いましたが野田さんを見直しかけて損しました(笑)。
早く解散して欲しいです。

投稿: セント・オブ・ウーマン/夢の香り | 2012年9月22日 (土) 23時22分

>セント・オブ・ウーマン/夢の香りさん

>野田さんを見直しかけて損しました(笑)。

実は私も騙されるところでした(;゚Д゚)
民主党はダメだけど、野田さんは良いかも・・・なんてね。
でも、やっぱり彼も民主党の一員でした・・・

小泉さんの言葉、本当にインパクトがあって忘れません。
野田首相と違ってぶれないところに安心感がありました。

投稿: minori | 2012年9月23日 (日) 09時03分

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