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2012年6月17日 (日)

二階の女

練炭自殺か、水口で男女2人死亡 滋賀

 15日午前9時25分ごろ、甲賀市水口町の自営業の男性(39)方の2階寝室で、妻が、ベッドの上に男性と、女性がぐったりと横たわっているのを見つけ119番した。県警甲賀署員が駆けつけたところ、2人はすでに死亡しており、室内には燃えかすの練炭が7個あった。捜査関係者によると、亡くなった女性は40歳前後とみられる。同署は2人が練炭自殺を図ったとみて死因や女性の身元を調べている。
(Yahoo!ニュース-産経新聞6月16日(土)9時17分)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120616-00000019-san-l25

このニュースを読んで頭の中にパッと思い浮かんだのは、松本清張の『二階』という短編小説です。

夫は長い間療養所で闘病生活を送っていたが、家に帰ることを強く希望していた。妻は夫の願いを聞き入れて印刷業を営む自宅二階で療養させることを決意する。
妻は店の仕事で忙しいため、夫のために住込みの派出看護婦を雇う。
看護婦は大変勤勉で控え目な人であったので妻は喜ぶ。
しかし、妻は次第に看護婦というより、ひとりの女が二階で夫とひっそりと向かい合っているという意識が起こるようになり、言い知れぬ不安が襲ってくる。
ある日、胸騒ぎがして妻が二階に駆け上がると、夫と看護婦は一つの布団の中で自殺していた。夫の遺書には、看護婦が妻を知る前の恋人であったことが書かれていた。
動転した妻は遺書を燃やし、看護婦の遺体を夫の横から引きずり出し、夫からはるか遠い場所へ移す。
妻は『全治の見込みのない夫と死ぬこと、それに同情した看護婦が一緒に死んでくれる』と遺書を書き直し夫の横に横たわる・・・

というような話です。簡単に書いてしまいましたが、非常に緻密な心理小説です。言葉は少ないのですが、妻と看護婦の間にどす黒い炎が立ち上っている様子が怖いです。

今回の事件では妻が発見して警察に届けたわけですが、夫の横に女が横たわっているのを発見した妻の気持ちはどうだったのでしょう。
松本清張はその時の妻(幸子)の気持ちをこのように表しています。

『幸子は取り残された。妻は完全におき去られ、夫はひそかなる略奪者に連行された。いいようのない孤独感が幸子にわいた。身体が宙に泳ぎ出そうだった』

今回の事件は、死亡した女性が夫とどういう関係だったのか、妻もこの女性の存在を知っていたのか、また、妻が練炭自殺を偽装した疑いは無いのかなど、様々な角度から取り調べが行われるでしょうね。
小説とは少し違う状況ですが、夫と女の死亡場所が二階のベッド上ということで小説を思い出してしまいました。

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