« 決断力は無いのに決めたルールは無視する政治家 | トップページ | 参政権問題は国民的議論が必要 »

2010年1月10日 (日)

外国人参政権、法制化を推進してきたのは自民党だった

現在、47都道府県のうち14県議会で、永住外国人の地方参政権の法制化に反対する意見書が可決されてします。その可決に際しては自民党議員が中心になったようですが、それに関する記事が8日付けの朝日新聞朝刊に載っていました。この件に関しては少し前からネットで話題になっていますのでご存知の方もいらっしゃると思います。
紙面には社会面の関連記事を含めてかなり大きく取り扱われていますが、朝日新聞のネット版asahi.comには関連記事の方は載っていません。ネットの記事は比較的早く消去されてしまうので、今のうちに紹介しておきます。

外国人参政権、14県議会が反対 「保守」掲げ自民主導

 47都道府県のうち14県議会で、昨年の政権交代以降、永住外国人の地方参政権の法制化に反対する意見書を可決したことが、朝日新聞の調べでわかった。このうち7県はかつて、賛成の意見書を可決している。いずれの可決も自民県議が中心になった。夏の参院選や来春の統一地方選に向けて、民主との違いを際だたせようとする狙いがある。
 反対の意見書を可決したのは秋田、山形、茨城、埼玉、千葉、新潟、富山、石川、島根、香川、佐賀、長崎、熊本、大分の県議会。主に自民党議員が提出し、昨年10~12月に採択された。
 意見書は、首長や地方議員は地方公共団体の住民が選挙するとの憲法の規定をもとに「日本国民でない外国人に選挙権を付与することは憲法上問題がある」としている。
 全国都道府県議会議長会によると、2000年までに30都道府県が参政権を求める意見書を可決した。在日本大韓民国民団(民団)の要望や、「憲法は永住外国人に地方選挙の選挙権を与えることを禁じているとはいえない」との95年の最高裁判決が影響した。
 島根県議会は地元選出の竹下登元首相が日韓議員連盟会長で法制化推進派だったこともあり、95年に賛成の意見書を可決。昨年12月には一転して反対の意見書を可決した。小沢秀多県議は「保守を掲げてきており、絶対に譲れない問題」と説明する。統一地方選は小差で当落が分かれることが多く、法制化で外国人の投票が実現する影響を懸念する声も党内外にあるという。
 自民党石川県連幹事長の福村章県議は「政権交代で状況が変わった」と話す。「かつて賛成したのは、法制化が現実的ではなかったから。賛成を要望した人の顔を立てておけと安易に考えていた」
 衆院選の大敗後、自民の谷垣禎一総裁は「保守」を掲げて党再生を目指す。党本部は「問いあわせがあった県連には可決された意見書を送っている」と話す。反対の意見書を提出した埼玉県の自民県議は、党本部から意見書案を入手したという。「民主は中がバラバラだから」と、民主を揺さぶる狙いがあったとも話す。
 民主党は政策集で地方参政権の早期実現を掲げ、昨年12月に小沢一郎幹事長が「通常国会には現実になるのではないか」と発言した。
 民団の地方参政権獲得運動本部の徐元テツ(テツは吉を並べる)事務局長は「前向きだった竹下元首相や小渕恵三元首相が亡くなり、自民では国威発揚の風潮が高まって法制化の流れが変わった」と指摘。「変化は残念だが、本音が現れた感じがする」と話す。
 法務省によると、国内には永住外国人計約91万人が暮らしている。(福井悠介、渡辺志帆、野村雅俊)

(asahi.com2010年1月8日3時1分)

以上がネットにも掲載されている記事です。竹下登元首相が日韓議員連盟会長で法制化推進派だったというのはなかなか興味深いですね。この流れがその後の小渕恵三氏、小沢一郎氏につながってくるというわけです。何か見事に自民党経世会が絡んでいますね。結局この参政権問題は長い間自民党政権が後押ししてきたということです。それ故最近地方議会で地方参政権に反対する意見書が自民主導で相次いで可決していることに対し民団では自民党に裏切られた思いが強いようです。

民団の徐事務局長は「我々は自民を信じ、いつかやってくれると信じてきた。短絡的な対応だ。日本国籍を取得すればいいと言うが、自分の出自を否定されることは寂しい」と訴えています。この事務局長の言葉は思わず本音を述べてしまったのでしょうけれど、結局、彼らの主張する参政権の根拠は「自分の出自を否定されることは寂しい」という単なる感情論でしかないことが露呈されています。

社会面に載っていた関連記事の方には簡単ですが、参政権を巡る政治的経緯が書かれています。紙面の記事は長文なので、90年代以降の流れが書かれている部分のみ引用します。

―――永住外国人の地方参政権をめぐる議論は、90年代に国会で活発になった。しかし、00年代に入ると沈静化。政権交代で再び高まりをみせている。
 在日外国人の参政権を求める運動は90年代前半、地方議会レベルで決議や意見書採択が相次ぎ、国会でも与野党を問わずに議論が起きていた。
 98年には新党平和と民主が、永住外国人に地方選挙への投票権を認める法案を衆議院に提出。99年に自民の小渕恵三首相と自由の小沢一郎党首、公明の神埼武法代表が連立政権の合意の中に永住外国人の地方選挙権について「三党で議員提案し、成立させる」と盛り込んだ。
 しかし、自民は賛否をめぐり党内が二分し、採択に至らなかった。01年に「帰化したくないのに参政権が欲しいというのはおかしい」と総裁選で述べた小泉純一郎首相が誕生。公明が04年や05年に法案を提出したが、いずれも審議が進まず、廃案となった。安倍晋三首相や麻生太郎首相も反対派だった。―――
(2010年1月8日朝日新聞朝刊)

この記事で興味深かったのは以下の部分です。

>01年に「帰化したくないのに参政権が欲しいというのはおかしい」と総裁選で述べた小泉純一郎首相が誕生。

ネットでは小泉元首相が参政権付与の賛成派か反対派かよくわからないと言われてきましたが、2001年の総裁選ではっきり反対の姿勢を示していたのですね。さすが参政権問題では一番詳しい朝日新聞です。小泉さんの指摘はごく当たり前のことではありますが、今回根拠を示していただきよかったです。

私はあるきっかけがあって10年ほど前から外国人参政権問題に関心を持つようになり参考文献も何冊か読みましたが、どちらかといえば法的な側面から語られることが多く、私の最も知りたかった政治的な側面が語られているものはほとんどありませんでした。

この法案は「憲法違反」であることは結論付けられていますが、それを無視してでも政治家達が成立させようとしている裏には表に出せない事情があるにちがいありません。私の想像ですが、国民固有の権利(固有の権利とは譲り渡すことができない権利のこと)を侵してでも外国人の権利を拡大させようという背景には「外国人にも社会参加する権利がある」などという表向きの主張とは別のもっとドロドロした裏取引があるとみています。

政治家がこのような危険な法案を何の見返りも無く通そうとするでしょうか。正統な理由があるならば国会で堂々と述べればよいのです。
外国人にも社会参加する仕組みが必要ならば川崎市にあるような「外国人市民代表者会議」や、諮問機関をつくる等いくらでも方法はあるはずで、なぜそれが「参政権」という権利を与えることにつながるのか理解できません。

それにしても、今回こうして朝日新聞がかなりの紙面を割いてこの問題を取り上げてくれたことには感謝しています。なぜなら、これまでこの問題の存在すら知らない国民が多すぎたからです。
18日から始まる通常国会でこの法案が提出されようとしていますが、自民党はこれまでの経緯をできる限り明らかにすると共に、法案提出阻止に向けて問題点を広報する努力を続けて欲しいと願っています。そのためには自民党に不利な情報も自爆テロ的に使うくらい思い切った戦術が必要だと思っています。そのくらいできなければ自民党は「保守」としての看板も掲げることはできないでしょう。

|

« 決断力は無いのに決めたルールは無視する政治家 | トップページ | 参政権問題は国民的議論が必要 »

「経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

こんばんは~
>この問題の存在すら知らない国民が多すぎ
私も詳しく知らなかった一人です。
政権交代してから騒ぎが大きくなって大変な問題だと認識した次第です。
小泉さんは如何なんだろうと気にしていましたが、はっきりと反対の姿勢を示していたのを知り安堵いたしました。知らせてくださって有難う。
参政権が欲しいのなら帰化すればいいだけの話ですが、それをしたら帰る場所が無くなるって事でしょうか?

投稿: 葉音 | 2010年1月12日 (火) 21時56分

>葉音さま
こんばんは~
小泉さんは竹島の領有権に関しても「竹島は日本の領土ですけどね」とぶら下がりインタビューで答えていますし、要所要所できちんと日本の主張を述べています。
なぜか小泉さんを売国奴扱いしている人たちがいますが、小泉さんは紛れもなく保守の方(というかまともな日本人)だと思います。
参政権問題は以前ちょっとしたグループで議論したことがあるのですが、ほとんどの方が無関心でした。私が問題点を指摘しても「え~、別にそれくらいいいんじゃな~い」くらいの反応だったのでショックでしたよ。
日本人の危機意識の無さがこれから大変な事態を招くと思います。
帰化については、日本への帰化人口が増えるとそれだけ民団の組織の弱体化につながるのでそれを阻止したいという動きや「外国で生まれ複数国籍を保有する韓国人が兵役を終えない場合一方の国籍を放棄しなければならない」という韓国の法律が関係しているようです。

投稿: minori | 2010年1月12日 (火) 22時40分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/176106/47254766

この記事へのトラックバック一覧です: 外国人参政権、法制化を推進してきたのは自民党だった:

« 決断力は無いのに決めたルールは無視する政治家 | トップページ | 参政権問題は国民的議論が必要 »