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2009年9月12日 (土)

「郵政民営化見直し」には納得のいく説明が必要

民主党は郵政の「官営化」を目指すのか(9/11)

 民主党の鳩山由紀夫代表は社民党、国民新党との3党連立合意を受けた記者会見で、新政権の発足後に日本郵政の西川善文社長の辞任を求める考えを改めて表明した。経営陣の人事に政府が安易に介入するようでは、民営化会社とはいえない。新政権は辞任を迫る具体的な理由と、郵政民営化を進めるか、後退させるかの姿勢をはっきり説明すべきだ。
 鳩山代表は6月17日、麻生太郎首相との党首討論で、西川氏の続投人事に反対した弟の鳩山邦夫前総務相の更迭を批判し「政権を獲得した時には西川氏にお辞めになってもらうしかない」と明言した。鳩山氏は9日の会見で「考えに変わりはない」と述べた。今回は野党でなく次期首相としての発言で、重みは違う。
 西川氏は三井住友銀行のトップを務めた後、小泉純一郎元首相に請われて、2007年10月に民営化した日本郵政の社長に就いた。宿泊施設「かんぽの宿」のオリックスへの一括売却の決定が不適切だったと前総務相が批判し、野党の民主党、国民新党なども同調した。
 辞任要求はその延長線上にあるのだろうが、民主党が政権に就く以上は、納得のいく理由もなく民営化会社の人事に介入するのはおかしい。かんぽの宿の売却で何か不正があったのか、西川氏の経営のどこに落ち度があったのかを政権与党として具体的に示すのが先決だろう。
 経済界から起用した西川氏を辞任に追い込んだ場合の後任選びも容易ではない。25万人の巨大組織を運営しながら、収益力を向上させる経営者を見つけるのは至難の業だ。官僚出身者の起用は論外だろう。
 連立を組む民主など3党は、日本郵政とゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の金融2社の株式売却の凍結法案を「速やかに成立させる」と合意した。政府が各社の株式を少なくとも当面は100%持ち続け、民営化は立ち往生する。日本郵政の傘下に金融2社と郵便局、郵便事業の各社がぶらさがる4分社制も見直す方針だが、具体的な姿は示していない。
 民主党はいったい「官から民へ」の改革を進める意志があるのだろうか。反民営化を党是とする国民新党との連立を優先した結果、郵政事業は以前の官営に逆戻りしていく印象が濃い。政権公約では郵政を「国営や公社には戻さない」と指摘しているが、説得力を欠く。
 私たちは巨大な「官製金融」の郵政を民の手に委ね、資金の流れを変えていくことが経済の持続的な成長に不可欠だと考える。民営化についての民主党の考えが聞きたい。
(日本経済新聞2009年9月11日社説)

これは日経の社説ですが、ネットの記事はすぐ消えてしまうので、あえて全文転載させていただきました。
普段紙面をよく見ているのは日経と朝日なのですが、基本的に両紙とも小泉構造改革路線には賛成の立場をとっています。読売や産経がどういう論調なのかは読んでいないのでわかりません。
ポイントの部分を取り出してみます。といってもほとんどなのですが・・・

■ 経営陣の人事に政府が安易に介入するようでは、民営化会社とはいえない。新政権は辞任を迫る具体的な理由と、郵政民営化を進めるか、後退させるかの姿勢をはっきり説明すべきだ。

■ 民主党が政権に就く以上は、納得のいく理由もなく民営化会社の人事に介入するのはおかしい。かんぽの宿の売却で何か不正があったのか、西川氏の経営のどこに落ち度があったのかを政権与党として具体的に示すのが先決だろう。

■ 経済界から起用した西川氏を辞任に追い込んだ場合の後任選びも容易ではない。25万人の巨大組織を運営しながら、収益力を向上させる経営者を見つけるのは至難の業だ。官僚出身者の起用は論外だろう。

■ 政府が各社の株式を少なくとも当面は100%持ち続け、民営化は立ち往生する。日本郵政の傘下に金融2社と郵便局、郵便事業の各社がぶらさがる4分社制も見直す方針だが、具体的な姿は示していない。

■ 民主党はいったい「官から民へ」の改革を進める意志があるのだろうか。反民営化を党是とする国民新党との連立を優先した結果、郵政事業は以前の官営に逆戻りしていく印象が濃い。政権公約では郵政を「国営や公社には戻さない」と指摘しているが、説得力を欠く。

まったくの正論で反論のしようがないです。特に郵政民営化に反対している方々に答えて欲しいのは『かんぽの宿の売却で何か不正があったのか、西川氏の経営のどこに落ち度があったのかを政権与党として具体的に示すのが先決だろう』の部分。

前総務大臣の鳩山邦夫氏をはじめ「何が何でも反対!」と叫ぶ人ほどこの疑問に答えようとしないのは何故なのでしょう。まさか本当に郵政民営化は米国の陰謀だと信じているのではないでしょうね。それならそれで納得のいく説明が必要です。

郵政民営化見直し法案が上程された際、自民党は政権与党に対しこの点を徹底的に追及すべきです。そのためにも自民党は小泉構造改革をどう評価するのか立場を鮮明にしておかなければなりません。

『「官から民へ」の改革を進める意思があるのか?』という問いかけは新生自民党にとっても重要です。この点は麻生内閣時に曖昧になってしまいましたが、民主党に対する対立軸にもなり得るので方向性を明らかにして欲しいと思います。

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コメント

日経は「かんぽの宿」騒動の時も、このスタンスでしたね。

主要紙の中で、「本来の意味」での保守は、日経じゃないかと思う時もありますよ。

投稿: M・M | 2009年9月12日 (土) 08時39分

>M・Mさま
こんばんは。
そうですね。日経は経済紙ということもあるのか冷静な分析の記事が多く落ち着いて読めます。
ただ、2006年の小泉さんの靖国参拝前に突如出してきた「富田メモ」については「なぜ日経なんだ?」と疑問に思いました。
経済での結びつきが強い中国に配慮したものだったのでしょうか。できれば政治色はあまり濃く出さないで欲しいなと思います。

投稿: minori | 2009年9月12日 (土) 23時03分

こんばんは。
確かに、おそらく民営化の本質は、「官から民へ」の流れであり、壮大な公務員改革のような気もしています。
かんぽの宿の話も、民営化の俎上にあったからこそこうやって公になり、白日のもとにさらされたような気もします。
説明力、説得力のある議論をした上で、国の明日を見据えて方針を決めてほしいものですよね。

私も郵政民営化については、少し掘り下げて紹介していこうと思っています。よかったらお立ちよりください。

投稿: Hiroko | 2009年9月13日 (日) 21時20分

>Hirokoさま
こんばんは。
「官から民へ」の流れが滞れば、当然政府関与の部分が増大するということですね。
官・民の役割分担の割合を変えるためには当然国民に対し納得のいく基準設定が必要だと思います。
株式の売却凍結にしても、外部からのリスクにさらされない反面、政府が責任を持って経営を監視・規律していくことができるのか疑問です。

Hirokoさまのブログ拝読しました。Hirokoさまは経営に関する専門家でいらっしゃるのですね。
私はこういう分野はとても苦手なのですが、とてもわかりやすい解説で大変勉強になりました。
Hirokoさまのブログがもっと大勢の方に読んでいただければ良いのですが。お気に入りに入れさせてもらいました。

投稿: minori | 2009年9月13日 (日) 22時18分

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