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2009年8月12日 (水)

陰謀論の魅力

あらゆる事件がCIAの陰謀に思えてくる

 陰謀論は魅力的だ。たとえばロッキード事件はアメリカの陰謀だった、という説。日本の自立を阻むために、CIAが田中角栄を陥れたというのである。たんなる贈収賄事件が、陰謀論のメガネで、エンターテインメント小説のように見えてくる。実際、チリのクーデターのようにCIAがお膳立てをした事件もあるのだから、陰謀論がすべて妄想とは言い切れない。
 副島隆彦・植草一秀『売国者たちの末路』は、小泉=竹中路線は日本の富をアメリカに貢ごうという政策であり、そもそもはアメリカの陰謀だ、と主張する本である。
 植草といえば手鏡による覗き事件と痴漢で逮捕・起訴された(覗き事件は罰金刑が、痴漢事件は実刑が確定している)。しかし事件発覚当初から陰謀説を主張する人びとがいる。あれは小泉=竹中路線に批判的だった植草を社会的に葬るために仕組まれた事件だったというのだ。たしかに、植草を逮捕した警察官が横浜から品川までずっとつけてきたことなど、不自然なところが多い事件だ。
 「小泉政権というのは、アメリカが日本に押しつけてつくらせた政権」というのが副島の見立て。郵政民営化も、米政府および米国金融業界が日本人の資産を狙ったものという位置づけである。「埋蔵金」発掘の高橋洋一が窃盗容疑で騒がれたのは財務省による謀略。西松建設事件は米軍不要発言に怒ったCIAが、東京地検特捜部を使って小沢一郎の秘書を逮捕させたもの、という。
 興味深いのは中川昭一泥酔会見陰謀説。あれは酔っぱらったんじゃなくて、薬を盛られたのではないか、というのである。アメリカに金融危機の責任をとれと迫り、日本の資金を注ぎ込むことを渋ったのがマズかったらしい。
 うーむ、こうなると、この世で起こるあらゆる事件はCIAの陰謀に思えてくる。陰謀論の魅力は、複雑で奇妙なできごとがとても簡単に説明できてしまうことである。そして難点は、あまりにおもしろすぎることだ。
(asahi.com(朝日新聞社)2009年8月10日)

確かに陰謀論は魅力的で読み物として面白いです。私もネット初心者の頃はいわゆる陰謀論サイトに書かれていることを鵜呑みにして真剣に信じていた頃がありました。自分で信じるだけではなく、友人にまで広めていたので今思うと困った人でしたね。

今でも陰謀論サイトは見ています。もちろんネタとして。それだけ魅力的なのは今でも変わらないです。
陰謀論者はとにかく文章が上手いですね。冷静に分析すればおかしなところが沢山あるのに、一見論理的に書かれているように見えます。とても説得力のある文章なので、「だまされないぞ!」と思いつつ読んでいても、いつの間にか洗脳されそうになります。また複雑な話を単純化する能力がすばらしいので非常にわかりやすいのです。

人間ってどうして騙されやすいのでしょうか。
自分は絶対に騙されないと思っている人間ほど詐欺にひっかかるといいますが、陰謀論を読んでいるとちょっとその気持ちがわからないでもないです。

ネットの大手掲示板に「なんでもかんでもCIAの仕業にするスレ」というのがあります。
『昨日俺の自転車が盗まれたのもきっとCIAの工作員の仕業』と書かれているように、陰謀論者の手にかかるとどんな出来事でもCIAの陰謀になってしまうのですから面白い。

上記書評にも書かれていますが、ネット上では『小泉=竹中路線は日本の富をアメリカに貢ごうという政策であり、そもそもはアメリカの陰謀だ』という話が山のように見つかります。

そもそも郵政民営化は小泉元首相が議員になった頃からの持論でその証拠は山ほどあります。それをアメリカのいいなりになってやったと主張すること自体おかしい。
ところが、陰謀論者とその信者の手にかかると、『郵政民営化を主張する小泉を、CIAは長い年月をかけて総理として送り込んだのだ』ということになってしまうのです。

彼らの特徴は反論を受けると明確な論証ができないこと。「かんぽの宿」問題でも持論を主張するのみで疑問点に答えないことです。

一旦洗脳された考えは宗教と同じでなかなか解けることはなく、逆に信じない人のほうがおかしいことになります。またやっかいなのは陰謀論に関わる人たちの中に著名な経済学者などが関わってくることで信憑性が高いと思われることです。

陰謀論とまでは呼ばなくても面白い小説として楽しむ余裕があるうちは良いでしょう。ところが、いつしか彼らの世界に取り込まれて逃れられなくなる可能性が高い。自分自身が詭弁や強弁に対処できる能力を持たないと陰謀論の魅力からはなかなか逃れられないと思います。彼らの論理の破綻を楽しめるくらいの余裕を持ちたいものです。

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