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2009年7月19日 (日)

自己変革が必要な自民党

今朝の朝日新聞のオピニオン欄に「こんな自民に誰がした」と題して飯尾潤氏、塩川正十郎氏、やくみつる氏の三名による意見が掲載されていました。なかでも塩川正十郎氏の発言には鋭い指摘が多く含まれています。
今のところWEB上に記事が見当たらないので以下、紹介させていただきます。飯尾潤氏、やくみつる氏の発言については紙面記事をお読み下さい。

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損得だけ考える「甘い商売」 塩川正十郎(元財務相)

 なんちゅうか、「政治不在」だね。東京都議選にしたって都政に対する政策の訴えより、国政選挙へのプロパガンダに重点が置かれてしまった。自民党はそれに対抗できる力をもっていなかったな。思い切って「オリンピック是か非か」の議論をやったらよかったのに、そういう知恵が出てこない。政治センスがメタメタになっているんだ。
 第一、麻生さんは就任してすぐに選挙をやるんだと、僕は思っていました。ところが、世界同時不況という言葉にだまされて。側近が悪いんじゃないか。いま選挙をやったら危険だとか言ったに違いないと思う。今ごろ解散と言ったところで、もう伝家の宝刀でもなんでもない。追いつめられて、さびついた刀を振り回しているだけ。
 宝刀を抜けなかったのは、政治がわかっていないからよ。自分がなんで総理大臣になったのか、空気が読めていない。だけど、それは麻生さん一人じゃない。自民党全体の話だね。
 昔は空気を適当に読んでやっていた。野党が全然ダメだったから、自民党が派閥抗争という形の自助努力をして政治を動かしてきた。それが機能しなくなったのは、94年に小選挙区制が導入されてからですよ。
 小選挙区といっても、比例代表並立制だから中間政党がキャスチングボートを握る。どうしても政治は妥協的になって、ポピュリズムに頼らざるを得ない。しかも、本当に政治を志そうという有為な人材は選挙に出にくくなった。立候補は現職じゃなければ、世襲か地方の議員や首長。中選挙区のときには、あれっと思う人材が出てきたけど、今はそのサプライズもないじゃないですか。
 自民党の派閥抗争が有効だったのは、経済がずっと成長していたから。政策を先送りする余裕があった。今は、それができない。国政の基盤が変わり、非常に難しい政治をこなす高度な能力が要求されるようになったが、その人材が小選挙区では出てこない。
 逆に、ポピュリズムに凝り固まった人たちが政権の中枢を担うようになった。政治家って、こんなに甘い商売はないじゃないかとなれば、選挙に勝てるようにと国民への迎合が始まる。
 国民にも、少し寛容になってほしいと言いたいね。総理大臣に多少のミスがあっても、ある程度の期間はやらせるというのが大事。代えろ、代えろとマスコミが国民をあおって、1年で総理が変わるようじゃ政治がうまくいくはずがない。小泉政権がもう5年続いていたら、この国の形は変わっていたと思う。格差、格差というけど、格差是正に手をつけようとしたところで降ろしちゃったんだもの。あと5年やっていたら、公務員改革にまで進めたと思いますよ。
 今のような政治が、10年は続くんじゃないかな。そこで経済も行き詰って、日本の産業が劇的に空洞化してしまうと思う。そうさせないために政策を出さなければいけないのに、何をやったらいいかわからない。人気取りしか考えない。
 つまり、政治を理解しているかいないかの話。政治家も国民も、自分に得か損かでしか考えないからダメなんだよ。政治家が選挙を人気投票と考えるのは間違いだし、国民も風にあおられて投票してはいかん。
(聞き手・今田幸伸)
(朝日新聞2009年7月19日(日) オピニオン「こんな自民に誰がした」より)
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小泉さんが近年珍しい長期政権だったのは、日本を建て直すための明確な構想を持っていたことと、それを企業から一般国民にいたるまで圧倒的に支持したこと。首相に対する信頼があったから政権が安定していたのだと思います。

それではなぜ今自民党がこのような状況に陥ってしまったのでしょうか。その原因のひとつは自民党の党則にあるのではないかと思っています。

そもそも自民党と言う政党は、いかに多くの議員に総裁=総理をやらせるかということばかり考えていたわけで、総裁になっても大抵は党内抗争で引きずり下ろされました。小泉さんのように任期満了で辞めていった総裁は珍しい。

自民党の総裁任期は2年→3年→2年→3年とその時々の都合で変えられ現在は3年です。しかし、連続3選禁止規定があるためどんなに人気のある首相でも総裁選に出ることができず事実上首相を辞めなければならない。最長で2期6年が総裁=総理の命ということですね。

そうやって自分達の都合でトップの首をすげ替えてきたけれど、それが出来たのは塩川さんの言うように経済が成長していて政策を先送りする余裕があったからでしょう。

これからは首相が強いリーダーシップを発揮して党を引っ張っていかなければならないのに、逆に昔の力関係に戻ってしまいました。

小泉政権時は党から権力を奪い返して官邸主導の政治を行っていたと思いますが、麻生首相を見ていると、党と喧嘩してでも自分の政策を通そうと言う意気込みが伝わってきません。

もちろん、政治家ばかりが悪いのではなく、経済不況に伴い国民に忍耐力がなくなり、すぐに結果が見えることばかり望む傾向があることも問題です。

そうはいっても、まずは自民党が自ら改革していくことが必要でしょう。例えば総裁選の連続3選禁止規定をやめてしまうか、衆議院の任期途中で総裁が変わった時には総理は原則として衆議院を解散して国民の信を問うことにするなど、何らかの形で国会の仕組みと連動したものにしないと常に国民の意思とずれのある総理が生まれてしまうことになります。

党と国会とは関係ないものだとはいうものの、それくらい思い切った改革をしない限り、ある程度の期間を任せることのできる強い総理が生まれる可能性は少ないのではないでしょうか。
自己変革もせず、国民を無視した党内抗争を続けている限り自民党の未来はないと思います。

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