日本は「バナナ共和国」のよう 米メディアが政治家を批判
米国の主要メディアで日本の政治家を批判する記事が相次いでいる。米誌ニューズウィーク(アジア版、3月9日号)は「アタマのない東京」という見出しで長文記事を掲載。短期間で相次ぎ辞任した日本の首相らの写真を並べ「日本はビジネス、文化、テクノロジーの主要勢力なのに、バナナ共和国(banana republic)のように運営されている」と指摘した。「バナナ共和国」とは政情が安定しない小国を皮肉る表現だ。
小沢一郎・民主党代表の公設秘書の起訴をめぐっては米紙ワシントン・ポスト(3月25日付)が「汚職と無能は日本政治の二大災難」と書いた。米紙ニューヨーク・タイムズ(3月15日付)は次男を後継指名した小泉純一郎元首相の選挙区で東大卒の27歳の弁護士が民主党から出馬を目指しているが、「小泉王朝を相手に勝ち目は薄い」と指摘した。
(NIKKEI NET(日経ネット)2009/03/29 09 07:00)
米メディアの日本叩きはいつものことですが、ブルームバーグ・ニュースでも日本の世襲についてかなり厳しい内容の記事が出ていました。こちらはかなり長文の記事なので抜粋します。
日本政治 世襲ではお先真っ暗
最近の日本政治で最もがっかりしたのは、なんといっても小泉純一郎元首相の政界引退の記者会見である。2001年から06年までの首相任期中に経済を揺さぶり、新しい政治を訴えたのが小泉だった。ところが、記者会見の席上、改革派の旗手のはずだった小泉氏は、「ここにいるのは、次男の小泉進次郎です。私の後を継いで、政界入りする予定です」とやらかしたのだ。
改革の代名詞のような小泉氏からして、こうなのだ。日本では、国政でさえもが家族経営の商店などのように扱われると、痛感させられた瞬間だった。
いうまでもなく、政界に「王朝」が誕生すること自体は、別に日本に限った話ではない。それどころか、米国のブッシュ父子大統領、インドの歴代のガンジー首相、アルゼンチンのキルチネル夫妻大統領、パキスタンのブット一族、フィリピンのマカパガル一族、インドネシアのスカルノ父娘大統領など、それこそ枚挙にいとまがないほどである。
◆初心忘れる議員
だが、やはり日本の場合は、ちょっと行き過ぎているように思えてならない。小泉氏が首相をやめた06年から、日本には安倍晋三氏、福田康夫氏、そして現在の麻生太郎氏と3人の首相が誕生しているが、3人ともとんでもなく力不足なのに加えて、世襲政治家なのである。(中略)
世襲化に加えて、日本政界が年功を重視しすぎることも、マイナスとなっている。議員は、発言力を持つまで何十年も議会で修業を続けなくてはならないのだ。本当に権力を持つようになったころには、議員はすっかり利権共同体の一員となってしまって、国民に奉仕するという当初の志を忘れているのが普通だ。
◆若手の出る幕なし
もちろん、年功はどこの国の、どんな組織でも大事な要素だ。だが、オバマ大統領のように、47歳の若手議員がいきなりトップに来るということは、日本の政界の場合、想像を絶する。若く、頭脳明晰(めいせき)で発言の切れ味もよい日本版オバマがいたとしても、彼が首相になるには67歳まで待たなくてはならないだろう。
若くてカリスマ的だからといって、オバマ氏が大統領として成功するとはかぎらないことは言うまでもない。しかし、日本の場合、斬新な考え方をする、新顔のリーダーが登場するまで、あと20年間も待てないことははっきりしている。財政赤字はあまりに大きく、高齢化は急激に進み、年金制度はがたがたで、産業の国際競争力も衰えつつある。残された時間は、あまりに少ないのだ。(中略)
◆「問題ある」58%
昨年9月に麻生政権が誕生すると、産経新聞は有権者の意識調査を行ったが、その際回答者の58%が、歴代首相が2世、3世の議員であることが問題だと言っている。野党の民主党は、世襲の魅力をなくすために政治家の家族が選挙資金を引き継ぐことを禁止する法案の提出を検討中だという。
数々の深刻な構造問題を抱えているとはいえ、能力に応じてリーダーを選べば、日本は潜在力を発揮して、将来的には再び成長の果実を得ることになると思われる。だが、能力ではなく、「生まれ」で首相ポストが決まり、新しい意見が力を得ない日本政治の現在のありようのままでは、先は真っ暗だ。(William Pesek)
William Pesekは、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は同氏自身の見解です。
(FujiSankei Business i./Bloomberg GLOBAL FINANCE 2009/3/19)
似たような記事が少し前のニューヨーク・タイムズにも出てました。今の経済不況を考えると、その発信源のアメリカにこんなことを言われるのは腹が立つのですが、そう言われても仕方の無い日本の政治状況があります。
アジア通貨危機後、五百籏頭真氏は「国は経済の悪化によって滅亡しない。経済悪化で情緒不安定になった時に下す政治外交的判断の誤りによって亡ぶ」とおっしゃっていました。
これぞ名言。十年経た今、再びこの言葉の持つ意味を深く考えさせられます。
日本の場合、政治のお粗末さは確かに問題ですが、主要メディアが実際以上に経済危機を煽りすぎたことや産業構造そのものに問題があるので、必ずしもすべての責任が政治家にあるとは思いません。
しかし、安倍、福田、麻生と短期間に首相が移り変わったことが日本の存在感を著しく低下させたことは事実であり、米メディアがそのひ弱さの原因を世襲に求めたのも無理からぬことだと思います。
もちろん、米メディアも日本の潜在能力は認めており、リーダーの選び方次第で変わることができると言いたいのでしょう。
私は将来的には世襲を禁止するのではなく、公平の観点から世襲の場合は選挙区を変えること。また、すべての立候補者に対しても同一選挙区からの連続立候補に一定の回数制限を設ける方式が妥当ではないかと考えています。
それにしても、米メディアは「小泉王朝」って何か勘違いしているような気がしますが・・・
民主党の小沢代表のように、地元に利権構造を作ったような方の子どもなり一族が地域を支配しているならわかりますが、小泉さんは利益誘導型のいわゆる土建屋政治といわれるものとは縁遠かったと思います。
いずれにしても、現時点で立候補に世襲制限はありませんから、この利点を最大限活用することに何ら問題はありません。むしろ大変なのは当選後の世襲議員本人ではないでしょうか。「バナナ共和国」なんて言われないように、しっかり働いて実績を残してもらいたいものです。
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