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2008年8月16日 (土)

裁判員制度見直し論

<小沢民主代表>政権獲得すれば裁判員制度見直しの意向

 民主党の小沢一郎代表は15日、来年5月から実施される裁判員制度について、「日本の風土になじまない」との判断から、民主党が政権を獲得すれば、制度のあり方そのものを見直すべきだとの意向を固めた。共産、社民両党は実施延期を求めており、民主党は当面、秋の臨時国会で延期を軸に野党共闘を進めるが、「見直し」に廃止の可能性も含めるとなれば、民主党内の反発も予想される。
 同制度は刑事裁判に一般の人が参加するものだが、数日間仕事を休む必要があることや、守秘義務などの負担が重い。小沢氏は13日に鳩山由紀夫幹事長と会談した際、抜本的に見直す必要性を示唆し、「政権を取ってから(対応を)考える」と述べたという。
 今年初めの最高裁の意識調査では、同制度について「義務なら参加せざるを得ない」44.8%、「義務でも参加したくない」37・6%と、消極的な国民意識が明らかになっている。党内では「国民が不安なら先延ばしを考えないといけないかもしれない」(幹部)との意見が出ていた。
 次期衆院選のマニフェストへの盛り込みも検討される見通しだが、制度の根拠となる裁判員法は、04年に民主党も含む全会一致で成立した。党内には「制度を前提に党の司法政策を組み立てている。それをやり直すとなったら無責任と取られかねない」(若手議員)との懸念があり、党内の意見調整に手間取る可能性もある。
 共産、社民両党も制度自体には今も賛成しており、「実施のための環境が整っていない」として延期を求める立場。制度自体に懐疑的な小沢氏とは温度差があり、野党共闘実現にもハードルがありそうだ。【野口武則】
(Yahoo!ニュース-毎日新聞8月16日2時30分)

裁判員制度の開始まで1年を切ったこの時点で、野党側から延期や見直し論が出ています。
私は、この制度は当初からとても中途半端で問題点が多い制度ではないかと思っていましたので、「やはり・・・」という感じがしないでもないです。

何が問題点なのかを書き出すと、とても長くなってしまうのでやめますが、簡単に言えば、裁判員制度とは、陪審制とも参審制とも異なる日本独自の国民の司法参加の方式で、両制度の欠陥を補えるほど優れた制度であるとは考えられないこと。どちらかといえば参審制に近いものであるのだろうけれども、官僚裁判官に対する民主的コントロール、監視機能を持つとされていても、どうしても裁判官が意見をリードすることになるのではないかという懸念があること。また、参審制は、ヨーロッパ諸国に多くみられる制度で任期制であるのに対し、裁判員制度は任期制でないこと、などがあげられます。

その中で、参審制と比べて問題なのは、裁判員制度が任期制でないことだと思っています。
ある事件で初めて裁判員になった普通の市民が、プロの裁判官との合議において対等な議論が可能であるとは考えにくいからです。だからといって任期制にできるかといえばそれも難しい。

先進諸国においては、国民の司法参加を制度として保証しており、わが国は国民の司法への直接参加の途を閉ざしている数少ない国の一つです。そのため、何らかの制度を取り入れざるを得ないということでは与野党一致した意見を持っています。

しかし、国民の間にこれほどの拒否感があることや制度自体の疑問点を考えると、来年5月からの導入は相当な混乱を招くような気がしてなりません。これまでの政府の広報活動はほとんど効果がなかったようです。

メディアで取り上げられるのは「誰が選ばれるのか」「参加したくない人は断れるのか」「日当は出るのか」といった手続きや制度の話ばかりで、最も重要な「裁判員は何を行うのか」がほとんど語られていないことが問題でした。

次の選挙で次期政権は民主党になる確率はかなり高いと考えられます。民主党も政権政党となれば責任は重く、野党時代の気楽で無責任な主張は許されません。政権を取ってから対応を考えるのも良いでしょう。ただし、裁判員制度という制度自体が一人歩きしないようわかりやすい議論をして欲しいと思います。

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コメント

 「裁判員制度」の導入に反対ではありませんが、「裁判を受ける権利」は基本的人権として認められなければならない、ということで、誰もが知っていることなんですが、逆に、裁判員として「裁判をしなければならない義務」というものが、どこから出て来るのかという説明が、「国民の意見を司法制度にも取り入れる」というだけでは、不足しているのではないかと思っております。
 

投稿: NEWS | 2008年8月17日 (日) 21時44分

>NEWSさま
裁判員制度はかなり問題のある制度だと思っています。
この制度の導入の経緯としては、他の先進国とのバランスに配慮した面が大きいと思います。
発達した法制度を持つ国においては何らかの形で国民の司法参加が実現されており、職業裁判官のみによる裁判をとっている日本の現状はむしろ異例で見直さざるを得ないといった考えによるものです。
もちろん、長所もあるのですが、問題点が沢山あります。
このままですと、制度はとりあえず作るけれど、形式のみの国民の司法参加となるおそれがありますね。
NEWSさまがおっしゃるように、どなたかが「裁判をしなければならない義務の存否」について訴訟を起こしてみたらどうでしょうか。
「私には裁判をしなければならない義務はないはずなのに裁判員制度を法律で義務化され苦痛を被った。謝罪と賠償を・・・」なんてね。
とにかく国の説明があまりにも不足していると思っています。

投稿: minori | 2008年8月18日 (月) 00時11分

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 おもしろい記事である。大新聞では書けない内容だ。  表に出ない反対の声 裁判員 [続きを読む]

受信: 2008年9月 7日 (日) 11時19分

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