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2007年6月 2日 (土)

著作権の保護期間は延長すべきか

このブログタイトルは「浮雲」と「変幻」の二つの言葉からできています。

浮雲=空中に浮かんでいてあちこちと漂う雲
変幻=姿がたちまち現れたり消えたりすること

日々浮かんでは消えてゆく様々な思いを雲にたとえて、ある作品の中から頂いた言葉です。
ある作品というのは国木田独歩の『武蔵野』。

九月七日――「昨日も今日も南風強く吹き雲を送りつ雲を払いつ、雨降りみ降らずみ、日光雲間をもるるとき林影一時に煌めく、――」
 これが今の武蔵野の秋の初めである。林はまだ夏の緑のそのままでありながら空模様が夏とまったく変わってきて雨雲の南風につれて武蔵野の空低くしきりに雨を送るその晴間には日の光水気を帯びてかなたの林に落ちこなたの杜にかがやく。自分はしばしば思った、こんな日に武蔵野を大観することができたらいかに美しいことだろうかと。二日置いて九日の日記にも「風強く秋声野にみつ、浮雲変幻たり」とある。ちょうどこのころはこんな天気が続いて大空と野との景色が間断なく変化して日の光は夏らしく雲の色風の音は秋らしくきわめて趣味深く自分は感じた。

大空に浮かんでは消えてゆく雲の姿が目に浮かぶようです。日本語とはこんなにも味わい深く美しかったのかと改めて思い起こさせてくれました。
「読んでみようかな・・・」と思った方もいらっしゃるかもしれませんね。
実はこの作品、ネット上で読むことができるのです。
その名は『青空文庫』
著作権の保護期限切れの本をボランティアの方が入力し、ネット上で公開している文庫なのです。

本日の朝日新聞別冊に「誰のための著作権延長か」という記事が載っていました。ここでは日本における著作権の保護期間を、現在の50年から70年にすべきかどうかの議論が検証されており、記事中にも『青空文庫』の紹介があります。

国木田独歩が亡くなったのは明治41年(1908年)なので、没後約100年経ち当然著作権の保護期間は過ぎています。それで『青空文庫』でも読むことができるわけです。
『武蔵野』は有名な作品なので現在でも本を入手することは可能ですが、作者や作品によっては『青空文庫』でなければ事実上読めなくなっているものも多いそうです。

しかし、50年の保護期間をさらに20年延ばすとなると、権利者の許可無くネット公開はできなくなるので、一般の人たちの目に触れることなく死蔵されてしまう作品が増えてしまうことになります。

保護期間延長によって得られる利益を受け取れるのは、ほんの一握りの作者やその遺族に限られてしまいますが、その方たちの権利を守ることと、一方で、利益は見込めず死蔵されていく多くの作者・作品の発表の場をいかにして確保するかのバランスが難しいところです。

ヨーロッパやアメリカはすでに保護期間は70年となっており、特にアメリカは映画や音楽の輸出大国であるため、日本に対して延長を求め続けています。
欧米が主張する70年という期間に正当な根拠があるのならば、日本も国際基準に従わざるを得ないと思いますが、どうも説得力のある根拠に乏しいようです。
ヨーロッパはEU統合の際、保護期間が最も長かったドイツに合わせただけで、アメリカもそれに追随しただけだからです。

しかもタイミングが悪かったのが、ネット革命前に欧米が保護期間を延長したことです。
朝日新聞の記事によれば、『欧州が延長した93年はウィンドウズ95すらなく、米国の98年はグーグルが産声をあげた年だ。実に間の悪いタイミングだったとも言える』と書かれています。

『青空文庫』に代表されるようにインターネットの発信力は絶大です。インターネットを介して作品を支持している多くのファンが作品を生かしているといっても良いかもしれません。
保護期間延長は日本独自の観点から判断すべきでしょう。

※朝日新聞の記事は2007年6月2日(土)「be on Saturday」より引用しました。

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