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2007年2月 7日 (水)

壺と標本

美術館や博物館巡りを趣味としている方は多いと思いますが、そういった方達もそれぞれお気に入りの美術館なり博物館があると思います。
私は趣味と言うほど頻繁には行かないのですが、お気に入りは「日本民藝館」と「東京大学総合研究博物館」です。

今、日本民藝館では「日本民藝館創設70周年記念特別展」として、「柳宗悦と丹波古陶」が、東京大学総合研究博物館では「東京大学コレクション――写真家上田義彦のマニエリスム博物誌」が開催されていて久しぶりに見に行って参りました。

Mingeikan1_6 専門的知識は無いのですが、私は古陶磁を鑑賞するのが好きです。その中でも自然釉の壺が特に好きです。人工的に木灰などを塗布したものや多彩な文様を施したものも味わいがありますが、あくまで自然釉にこだわりがあります。古伊万里や鍋島の美しさや華麗さはもちろん素晴らしいと思いますが、それはどちらかと言えば技巧的な美しさという視点で鑑賞しているので、古陶磁の鑑賞と同列には語れないような気が致します。

自然釉の中世の大壺は、形はゆがんでいたりして無骨な感じもしますが、観賞用としてではなく、生活用具として使われていただけに、力強く個性的で味わいのあるものです。じっと眺めて、作られていた当時の時代へ思いを馳せるのも楽しいですね。

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いつか丹波古陶館に行ってみたいです。
図録で見たのですが、丹波篠山の春日神社の能楽殿の舞台下には大甕がいくつも置かれています。このような大甕は、演者が足拍子を踏んだ時の音響効果を調整するものとして他の能楽堂でも甕が置かれているようです。
民芸館の中にも大甕がありますが、あれはかなり大きいです。あのくらいの大きさの甕が置かれているのでしょうか・・・

東京大学総合研究博物館の方も素晴らしかったです。あそこは好きな人は展示が変わるごとに行かれると思うのですが、そもそもあまりこの博物館の存在そのものを知らない人が多いのではないでしょうか。

東大には膨大な学術標本があり、すでに展示企画は21回を数えるそうです。う~ん、もうそんなにやっていたのかって感じ。私はその中の5、6回しか見てませんが・・・
今回の展示は、初めて学術標本をプロの写真家に撮影してもらうという企画です。その写真家とは、現代広告写真界の第一人者、上田義彦さん。

最初「な~んだ、写真なのか、あまり面白くないかな~」と思いつつ中に入ったのですが、最初の写真を見た瞬間、私の間違いを思い知らされました。
「えっ、これって本当に写真なの?いや写真なのかもしれないけど写真じゃないような、もちろん絵画ではないし、何なんだこれは!これはアートとしか表現できない!」

とにかくすごい衝撃でした。アルコール漬けになった生物の標本、大腿骨、古代人の頭蓋骨等々、上田さんが写真に撮ったものをポスターくらいのサイズで展示したものなのですが、その質感たるや驚きのものです。実際の標本もそこには展示されているのですが、両者を比べてみても、同じものを撮影したものだとは到底信じられないほどの表現力。素晴らしいです。

「ムカシトカゲ」のアルコール漬けの写真は特に気に入って絵葉書を買ってしまいました。
アルコールの中では確かに死んでしまっているのですが、写真に撮られたトカゲ君は無邪気に微笑んでいるかのよう。標本のガラスのビンでさえその質感はガラスとは思えないほどの暖かみを感じさせてくれます。アーティストとしてのフォトグラファーの凄さを初めて知りました。

本来、学術研究用の写真は「そのままを写す」という作業だったのでしょうが、これは発想の転換とでも言うのでしょうか。このような企画を考え出した東大の方々の凄さにも驚きました。

ちょっと調べてみたのですが、上田義彦さんって桐島かれんさんのご主人なんですね。作品としては、サントリーのウーロン茶、伊右衛門、無印良品、資生堂などの広告がある人です。

プロの写真家の凄さを思い知らされました。
   

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